新着情報

意外と面白いニッチな「空き家活用」5選

私たちの周りで増え続ける空き家。
しかし、空き家には無限の可能性が秘められているのをご存知でしょうか?
空き家管理士協会では「空き家の可能性に挑戦!」をミッションとして活動しています。

日本の空き家率は年々上昇を続け、2023年時点で約14%に達しています。
一見すると深刻な社会問題に見えますが、視点を変えれば、これらの空き家は地域の新たな価値を生み出す可能性を秘めた資源とも言えるのです。

今回は、全国各地で実践されている、また、個人的に注目している、ユニークで革新的なちょっと「ニッチ」な空き家活用事例をご紹介します。
これらの事例は、地域活性化の新しいヒントになるかもしれません

1.空き家×シェアキッチン&ゴーストレストラン
飲食店開業を目指すチャレンジャー向けに、空き家を共同利用可能なシェアキッチンとして活用する例が出てきています。
初期投資を抑えられることから、若手シェフの育成や新規ビジネスの創出に貢献しています。

また、ゴーストレストランは、キッチンと料理人さえいれば開業できるため、空き家活用に適しています。
ゴーストレストランとは、店内に飲食スペースを持たず、UberEATSなどのデリバリー専用に飲食を提供するスタイルです。

以前ローソンが、店内調理の器具を使って、ウーバーイーツなど宅配代行サービスのアプリから注文を受ける「ゴーストレストラン」事業に参入するなど盛り上がってます。
メリットとして以下のような点が挙げられます。
・客席が不要なため、内装にほとんど費用がかかりません
・お客様用のトイレなどが不要で、飲食店営業許可が取れるキッチンのみで十分です
・デリバリーサービス対応エリア内であれば、多少不便な場所でも問題ありません
・既存の空き家を活用することで、不動産賃貸料や大規模な改装費用を抑えられます

2.空き家×データセンター
空き家をデータセンターに活用する取り組みは、新しい空き家対策として注目されています。
大量のデータを処理するIT機器を効率的に運用するための施設へ活用。
次世代のインフラ整備にむけ「空き家」を地方のDX拠点として再生します。

岐阜県飛騨市では、空き家になった古民家を改装してデータセンターをオープンしました。

この取り組みは以下の特徴があります。
・全国初の空き家活用型データセンター
・東京都の研究・実験用機器メーカーの社長の実家を活用
・ICT遠隔監視システムで運用
・300〜400社のデータ管理が可能
・人材確保や外国人向けアプリケーション開発企業が利用中

こちらの改装工事では、床の補強や遮音工事、温度管理のための工夫が施されました。
この空き家のデータセンター化は、空き家だけでなく、地域の遊休資産を有効活用しつつ、新たな産業インフラの整備にも貢献できる可能性があります。

3.空き家+耕作放棄地×養蜂場
こちらまだ、事例としては少ないですが、地方で問題になることが多い、「空き家+耕作放棄地」対策に最適です。
はちみつや蜜蠟などが新たな地域ブランドの特産品になれば地域活性化にもつながります。

空き家を改修して農業体験施設として活用、空き家の庭や周辺の緑地を蜜源として活用することで「空き家と耕作放棄地」両方の有効活用が可能です。

ただし、養蜂には専門知識や適切な環境管理、届け出などが必要であり、また近隣住民への配慮も重要です。
空き家を養蜂場として活用する際は、これらの点に十分注意を払う必要があります。

4.空き家×学生寮
安く住みたい学生と、空き家対策がマッチングすれば、地域住民との交流で地域の活性化にもつながります。
また、大学と自治体や地域住民などを巻き込むことで思わぬ化学反応が期待できます。

取り組みの主な事例として
・地域住民と学生が協力して空き家の片付けや改修を実施
・まちづくり実習IIという授業で実施
・学生が提案したプランに基づいて民間不動産業者がリノベーショ

がありますが、今後高齢者しかいなくなった公営団地やニュータウンなどでニーズが出てきそうな事例だと思います。

5.空き家×農福連携(障がい者グループホーム)
農福連携とは、障害者等が農業分野で活躍することを通じ、自信や生きがいを持って社会参画を実現していく取組です。
農福連携に取り組むことで、障害者等の就労や生きがいづくりの場を生み出すだけでなく、担い手不足や高齢化が進む農業分野において、新たな働き手の確保につながる可能性もあります。

地方には大きすぎる空き家問題というものがあります。
要するに、建物や敷地が大きすぎて借り手が見つからないというものです。

おまけに農地がついていたりするとハードルが一気に上がってしまいます。

僕の管理している物件にもまさにこういったお家があり、これまで何度も案内させていただきましたが、「広すぎる」「農地が負担だ」などといった理由でなかなか借り手が出てきませんでした。

そこでこの農福連携と空き家活用を掛け合わせる、「空き家×農福連携」が注目されます。

僕の管理している物件もそうですが、地方の大きな空き家には納屋があったり、屋外での作業スペースがあったりと、通常の生活には必要のないものが敷地内にあるケースがあります。

住居部分もそれなりに広く、核家族で住むには広すぎる場合、障がい者グループホームという選択もあります。

障がい者グループホームとは、障がいを持つ人たちが生活上必要な支援を受けながら、少人数で共同生活を送る住まいです。

グループホームと聞くと活用に関して、建築基準法対応などで改修費用が大きくなりそうな印象ですが、法改正などによりかなりハードルが下がりました。
背景には需要に対する供給率がわずか6%という事も大きく関係しています。

空き家を改修したグループホームで生活しながら農業を行うことで社会と関りをもっていく。
農作物を作るだけでなく加工品も製造販売することで多様な人が生活する地域が実現します。

まさに社会的な意義も大きい空き家活用だといえます。

以上、これから面白そうなニッチな空き家活用について書きました

新築物件の価格高騰もあり、空き家をふくめた中古住宅の価値がどんどん上がってきています。
これからも「地域の未来」を空き家の管理から活用でサポートしていこうと思います。